平成20年1月30日
平成19年(行ウ)第13号違法公金支出差止め等請求事件(沖縄命の森やんばる訴訟)
原告 平良克之外8名 
被告 沖縄県知事       
 
第一準備書面
那覇地方裁判所民事1部合議係 御中
原告訴訟代理人
弁護士  関根 孝道
同     塚田 朋子
同     森平 尚美


第1 仮執行宣言の申立てについて

 訴状請求の趣旨第5乃至7項に係る仮執行宣言の申立てを撤回する。
なお、同第1乃至4項に係る仮執行宣言の申立ては、これを維持する。

第2 訴訟資料の提出と主張立証責任

1 訴訟資料の提出

 住民監査請求及び住民訴訟制度は平成14年に一部改正され、新たに暫定的停止勧告制度が創設され(地方自治法242条3項)、4号訴訟に係る訴訟類型も再構成されるなど、昭和38年の抜本的制度改正以来の大きな改正が実現した(地方自治制度研究会編「改正住民訴訟制度逐条解説」ぎょうせい(平成15年2月10日)序文『はじめに』参照)。同書は、その序文にあるように、同法改正につき「住民監査請求制度及び住民訴訟制度の改正作業に携わったメンバーが、住民監査請求制度及び住民訴訟制度の改正に関し、改正条文ごとに詳細にかつ踏み込んで解説することを意図して執筆したもの」である。
この4号訴訟の再構成は、「改正前の四号訴訟では、送付嘱託、文書提出命令等の証拠調手続や情報公開請求によって地方公共団体が有している訴訟資料を収集しなければならなかった場合も存したところ、新四号訴訟では、地方公共団体の執行機関等が被告となることから、被告からの訴訟資料の提出が裁判所からの釈明等を通じて円滑にされることが期待でき、より迅速かつ充実した審理を行うことが可能となる」ようにする一方(同上37〜38頁。下線部分強調)、「今回の四号訴訟の再構成は、改正前の四号訴訟が有していた機能を基本的には維持しようとするものであることから、長、職員、相手方の実体責任は何ら軽減しておらず、また、訴訟の対象事項を制限するという措置も講じていない。このため、改正前の四号訴訟が有していた違法行為に対する抑止効果は従来どおり維持されるものである」(同上38頁。下線部分強調)。
更に、四号訴訟の被告が個人としての長や職員から、地方公共団体の執行機関又は職員(以下「執行機関等」という)とされた点も重要である。これは被告とされた執行機関等が県のために訴訟追行すべきであって(下線部強調)、いやしくも個人としての長や職員のために訴訟追行してはならないことを意味する。これに反する訴訟追行は執行機関等の義務違反となる。個人としての長や職員の利益擁護は新設された訴訟告知の制度によって手当されている(地方自治法242条の2第7項)。個人としての長や職員のために訴訟追行し、事実を包み隠したりすることは論外である。

2 主張立証責任

 最高裁は、いわゆる伊方発電所原子炉設置許可処分取消請求事件において、次のように判示している(最高裁判所判例解説民事篇平成四年度407頁3〜8行目)。

 「原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準並びに調査審議及び判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張立証を尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。」

 本件においても、本件事業に関する資料はすべて被告行政庁の側(県及び県知事)が保持していること、本件事業の採択も被告行政庁側の審査基準・調査審議に基づき判断されたことなどに照らし、被告において、本件事業採択に際し依拠した具体的な審査基準・調査結果(本件事業がやんばるの自然環境に与える影響を含む)・判断の過程等、更には、訴状でその違反が主張された各種法規、すなわち森林・林業基本法、森林法、環境基本法、環境影響評価法、文化財保護法、種の保存法などについて(訴状28〜46頁)、本件事業がそれらの各種法規に違反しない判断した根拠を、具体的な事実・資料・データ等を示して主張立証すべきである。とくに、本件訴訟は、客観訴訟として原告らの個人的経済利益を離れて、県の公金支出の適法性と県に与えた損害の有無を客観的に解明することを目的とするのだから、被告の主張立証責任が通常の主観訴訟と異なるのは当然である。

3 小括

 以上から明らかように、被告は、後述する原告の求釈明事項につき釈明し、関連する一切の訴訟資料を提出するだけでなく、県の公金支出の適法性・県に与えた損害の有無につき、県(県民)のために客観的真実を明らかにすべく、主張立証責任を尽くすべきである。

第3 答弁書に対する求釈明事項

 被告の答弁書「第2 請求の原因に対する答弁」は、訴状主張事実のすべてについて認否をしておらず、認否の趣旨が明瞭でない部分もあるので、以下の諸点につき正確に釈明するよう求める(民訴法149条3項)。
認否に際しては訴状の頁数と行数をもって、逐一、認否に係る箇所を特定されたい。

1 答弁書3頁上から3行目

  同所において、「本件事業が乱開発である旨の主張については争う。」と認否されているが、この部分は訴状8頁上から5〜6行目の「このような赤土汚染を惹起する根源は山地における本件事業のような乱開発である」との主張を争うものと思われるところ、本件事業のような林道開設が赤土汚染を惹起する原因となっていることまで争う趣旨か。
あるいは、当該認否部分は、訴状7頁下から3行目〜同8頁上から4行目の「その土壌は国頭マージと呼ばれる赤土から成り、開発による土壌崩壊・流失はいわゆる赤土汚染を引き起こし、沖縄の脆弱な自然環境の破壊原因となっている。開発により山が荒されると、赤土は山地から沢筋、渓流、河川へと流出し、最終的には、海に至って沈殿し、サンゴ礁で囲まれたイノーに堆積して、サンゴを死滅させる。赤土汚染は、沖縄のサンゴの青い海を血で染めたような赤い死の海と化し、山地・沢筋・渓流・河川の生態系だけでなく、海洋生態系をも破壊する最大の要因となっている。」箇所をも否認する趣旨か。そうだとすると、甲第3号証224頁〜225頁にあるような山地開発と赤土汚染の事実(写真番号57〜61)をも否定するのか。
当該認否に係る訴状主張部分のうち、具体的に、認める部分と否認する部分と争う部分を特定されたい。

2 答弁書3頁上から11行目

  同所において、「ヒナの落下事故は確認していない。」と主張されているが、ヤンバルクイナのヒナを含む小動物のU字溝への落下事故につき調査を実施したのか、「確認」というのはいかなる意味か、たとえば、甲第3号証218頁にあるヤンバルクイナのヒナのU字溝への落下(写真番号33「側溝に落下したクイナのヒナ」)、同第3号証226頁にあるヒナの落下死(写真番号63「ヤンバルクイナ・ヒナ」)及び同第4号証82頁の各写真(タイトル「林道の側溝に落ちた小動物は死を待つしかない」)のような事実をも否定する趣旨か。

3 答弁書3頁下から11〜12行目

  同所において、「やんばるの森林は人為的に森林施業が加えられ、イタジイを主体とする二次林となっている。」と主張されているが、やんばるの森林のすべてが人為的な森林施業の対象とされ二次林になっているという趣旨か。やんばるの森林状況について調査を実施したことがあるのか。

4 答弁書4頁上から3〜4行目

  同所において、「林道路肩のU字溝等により絶滅が深刻化しているとの点については否認する」と認否されているが、この部分は、訴状11頁下から2行目〜12頁上から3行目の「林道建設による森林伐採、生息地の分断・劣化・破壊、林道法面への落下、林道上の轢死・餓死・炎熱死、林道路肩のU字溝への落下、林道路肩のL字溝段差バリアーや急峻な林道法面により林内生息地へ戻れないこと、灼熱化したアスファルト舗装林道により林道横断ができず狭い生息域に閉じ込められることにより、絶滅が深刻化している。」という主張のすべてを否認するのか、あるいは、林道路肩のU字溝への落下による絶滅の深刻化のみを争う趣旨か。甲第3号証197頁右上の写真「林道側溝U字溝に落下した天然記念物・絶滅のおそれのあるリュウキュウヤマガメ」及び同第4号証82頁の各写真(タイトル「林道の側溝に落ちた小動物は死を待つしかない)のような事実をも否定する趣旨か。

5 答弁書4頁上から5〜7行目

  同所において、「現在、林道には、改良型L型側溝や改良型U字溝、スロープの設置などの改良がなされており、リュウキュウヤマガメが死亡する事例は確認していない。」と主張されているが、リュウキュウヤマガメの死亡事例につき調査を実施したのか、「確認」というのはいかなる意味か、たとえば、林道上のリュウキュウヤマガメの死亡写真が提出されれば「確認」し、「認める」という認否になるのか。甲第3号証226頁の写真番号64「ヤマガメ轢死」の事実にも拘わらず、「リュウキュウヤマガメが死亡する事例は確認していない」との主張を維持するのか。

6 答弁書5頁上から9行目

  同所で「事実については認め、主張については争う」と認否されているが、当該認否の対象とされた訴状主張部分のうち、いかなる部分を「事実」として認め、いかなる部分を「主張」として争うのか明らかにされたい。
たとえば、訴状14頁下から13〜8行目の「県全体の林道延長は280kmであるから、林道整備事業の事業量が617kmにも及びことは、同一の路線についても開設・改良・舗装の各事業が幾たびも反復されたことを物語っている。各事業が繰り返されるたびに国からの補助金が県に転がり込む構造となっている。いずれにしても、補助金目当てのムダな公共事業が繰り返され、県の負担部分について、不必要な公金支出がなされていることを数字が如実に示している。」旨の主張部分のうち、どの部分を「事実」として認め、どの部分を「主張」として争うのか。

7 答弁書5頁上から12行目

  同所で「治山災害復旧事業については、本件とは関係がない」と主張されているが、これは「相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合」として、当該認否の対象とされた訴状主張部分の全体につき擬制自白の成立を認める趣旨か(民訴法159条1項本文)。
それとも、当該認否の対象とされた訴状主張部分(訴状14頁下から7行目〜同15頁上から2行目)には、「林道施設災害復旧事業費」と「林業災害復旧費」と「治山災害復旧費」に係る3つの主張がなされているので、このうちの前二者については認め、「治山災害復旧費」だけについて擬制自白の成立を認める趣旨か。
なお、治山災害復旧事業と本件事業との関係性について一言すれば、過去において支出された治山事業復旧事業費がどれだけであるかは、林道開設事業と治山事業復旧事業との一般的な関連性―たとえば、林道開設と自然災害発生の頻度―を明らかにする客観的データにほかならず、林道開設事業の費用対効果・必要性・合理性等の評価を行う上で欠かせないものである。
県は、上記「林道施設災害復旧事業費」「林業災害復旧費」「治山災害復旧費」の事業主体として、各事業箇所及び事業費総額を知悉しているので、正確に認否されたい。

8 答弁書5頁上から15行目

  同所において「争う」と認否されているが、当該認否の対象とされた訴状主張部分のうち、「林道が開設されると山は荒れ果てて、自然災害が不可避的に引き起こされ、林道の路面・法面などが崩壊・崩落し、これが引き金となって、今度は林業・治山災害復旧という名目の新たな公共事業が実施される構図となっている。災害復旧の国庫補助率は90%前後の手厚いもので、林道開設事業補助率80%を超える」(訴状15頁上から3行目〜7行目)という箇所をも争う趣旨か。災害復旧の国庫補助率についても、正確に認否し、反論の主張をされたい。

9 答弁書5頁下から10行目

  同所において「争う」と認否されているが、当該認否の対象とされた訴状主張部分のうち、「本件事業予定地であるやんばるには、林道密度にして全国平均の約2倍、舗装率にして全国平均の約2.3倍にも及ぶアスファルト舗装林道が存在する。」(訴状15頁上から13行目〜15行目)という箇所をも争う趣旨か。争うのであれば、本件事業予定地のやんばるにおける林道密度・舗装率等について、反論されたい。

10 答弁書5頁下から9〜6行目

  同所において、「大国林道は、本件訴訟の対象となっていない。」「奥与那林道は、本件訴訟の対象となっていない。」と主張されているが、これは上記7の場合と同じく「相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合」として、当該認否の対象とされた訴状主張部分の全体につき擬制自白の成立を認める趣旨か(民訴法159条1項本文)。あるいは、そのすべてを「争う」のか、一部について「認め」一部について「争う」のか、後者だとすれば各該当部分を明らかにされたい。
なお、本件事業と大国林道・奥与那林道との関係性について補足すれば、本件事業により開設される林道は、直接的・(他の林道を介して)間接的に、広域基幹林道である大国林道・奥与那林道の両林道に接続されて、林道網というネットワークの中に組み込まれるものなので、両林道との一体的な評価、たとえば、自然環境に与える相乗的な影響、両林道伝いに北上したマングースが本件林道により東西南北に分布していくこと、本件林道中には近距離において大国林道・奥与那林道と併走するものがあり、この併走する部分については不要であることなどを指摘できるのであって、両林道と本件訴訟との関係性は明らかである。  

11 答弁書5頁下から4〜3行目

  同所において、「同第1段落『本件事業は、後述するように』から『別紙林道目録(1)及び(2)記載のとおりである。』までは認める。」と認否されており、訴状記載の主張部分のうち訴状17頁下から2行目〜同18頁上から3行目までの箇所に対してしか認否がなされていないが、その余の訴状記載の主張部分、すなわち訴状18頁上から4行目〜同頁下から5行目までの箇所については、上記7及び10の場合と同じく、「相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合」として、擬制自白の成立を認める趣旨か。
特に、訴状18頁下から7行目〜同5行目までの主張部分「本件事業により開設された林道はマングースの進入路となり、やんばる全体域がマングースの生息域となる。本件事業はマングースの進入路を建設するものでしかない。」についても、擬制自白の成立を認めるのか。

12 答弁書6頁上から3行目

  同所で「事実については認め、法的主張については争う。」という認否は、訴状20頁上から3行目〜同21頁下から8行目までの主張部分は認め、同21頁下から7行目〜3行目までの主張部分を争う趣旨か。

13 答弁書6頁下から12行目

  同所で「事実については認め、法的主張については争う」という認否は、訴状23頁上から2行目〜14行目までの主張部分は認め、同23頁下から7行目〜5行目までの主張部分を争う趣旨か。

14 答弁書6頁下から7行目

  同所のの認否、「事実については認め、法的主張については争う」というのは、訴状25頁上から4行目〜同27頁上から5行目までの主張部分は認め、同27頁上から6行目〜12行目までの主張部分を争う趣旨か。

15 答弁書6頁下から4行目〜2行目

  同所において、「平成15年12月の樹立と平成19年3月の地域森林計画の変更の間において、平成17年12月にも沖縄北部地域森林計画を変更している。」と主張しているが、この平成17年12月の沖縄北部地域森林計画について、(1)変更手続経緯、(2)変更理由・箇所、(3)変更計画内容をそれぞれ明らかにされたい。

16 答弁書7頁上から4行目〜5行目

  同所において、「伊江原林道は『奥支線(1)』、楚州仲尾林道は、平成17年12月の変更において『伊楚支線(1)』として記載されている」旨の主張がなされているが、この部分につき以下の諸点について明確な釈明を求める。
(1)伊江原林道につき、いつの計画時点から、いかなる理由に基づき、名称変更されたのか、伊江原林道と奥支線(1)なるものとの同一性はいかに検証できるのか。
(2)楚州仲尾林道につき、平成17年12月の変更以前には地域森林計画には記載がなかったのか、いかなる理由に基づき名称変更されたのか、楚州仲尾林道と伊楚支線(1)なるものとの同一性はいかに検証できるのか。
(3)チイバナ林道については、平成19年3月の計画変更まで地域森林計画には記載がなかったことにつき認め、あるいは擬制自白の成立を認めるのか。

17 答弁書7頁上から8行目

  同所で「同Cについては争う。」と認否しているが、この部分は訴状30頁上から12行目〜同31頁下から4行目までの主張に対するものであるところ、当該訴状主張部分のうち以下の箇所についても争う趣旨か。
(1)「本件事業予定地であるやんばるは、上記のように、東洋のガラパゴスと讃えられ、ヤンバルクイナをはじめとする固有種・希少種・貴重種の生息地・生育地であるだけでなく、やんばるの森は沖縄島の県土を保全し、県民の水源をかん養し、いわゆる緑のダム・県民の命を支える水ガメとして、沖縄島の自然環境の保全に不可欠なものである。やんばるの森は沖縄島すべての生命(いのち)を支える森である。すべての生命(いのち)はやんばるの森によって生かされている」(訴状30頁上から12行目〜17行目)
(2)「本件事業予定地は、ヤンバルクイナを始めとする固有種・希少種・貴重種の重要生息地であり、これらの動植物種は、天然記念物・国内希少野生動植物種として、文化財保護法、種の保存法による保護指定を受けている」(同30頁下から6行目〜4行目)
(3)「本件事業予定地である国頭村の経済的条件についていえば、同村の主要産業は第三次産業にシフトしており、林業といっても、補助事業の受け皿として補助金造林が行われているだけである」(同31頁上から1行目〜3行目)
(4)「『林業』生産といえるものも、補助造林事業の伐採林からチッブ材・オガ粉を作る程度のものであること、『林業』生産額・従事者数も微々たるもので地域経済に貢献しているとはいえず、その造林という森林整備事業による森林破壊の経済的マイナスの方が大きいこと、やんばるの森を観光資源として保存することが同村の内発的発展を保障することも明らかである」(同31頁上から4行目〜8行目)
(5)「社会的条件についても、国頭村の各集落に必要な生活道路はすでに整備済みであり、本件林道が各集落の人々の日常生活道路として利用されることもないのだから、地域の社会的条件という観点からも本件林道を必要としない。実際、本件林道は森林管理道として開設されるものだが、森林管理のためなら既存の林道で十分に対応可能であるし、イタジイの自然林から成るやんばるの森はそもそも人手による人為的な管理を必要としない。この社会的条件の中に、国・県・地域レベルにおける、自然保護意識の高まりという世論動向、利用されない林道開設というムダな公共事業への批判、政策評価・事業評価などによる中止を含む公共事業の見直し、国・地方の財政再建のためのムダな公共事業費の削減などが含まれる」(同31頁上から13行目〜22行目)

18 答弁書7頁上から13行目

  同所において「主張については争う」とあるが、具体的に、当該認否に係る訴状主張部分のうち、どの部分を「主張」として「争う」趣旨なのか特定されたい。   

19 答弁書7頁上から17行目

  同所において「主張については争う」とあるが、具体的に、当該認否に係る訴状主張部分のうち、どの部分を「主張」として「争う」趣旨なのか特定されたい。 

20 答弁書7頁下から7行目

  同所において「事実については認め、法的主張については争う」と認否されているが、具体的に、当該認否に係る訴状主張部分のうち、どの部分を「事実」として「認め」、どの部分を「法的主張」として「争う」のか特定されたい。

21 答弁書7頁下から5行目

  同所において「争う」と認否されているが、当該認否に係る訴状主張部分のうち以下の箇所についても否認する趣旨か明らかにされたい。 
(1)「国頭村における森林施業の実体は、補助事業である森林整備という造林事業を森林組合が随意契約で独占的に請け負い、森林整備(造林事業)という名目で森林を伐採し、これを無償で取得してチップ材・オガ粉を生産するものである。このような脱法的な行為が行われるのは、一般的には、安価な外材に押されて伐採・搬出価格をもペイしない木材価格の長期低迷による」(同38頁上から3行目〜7行目)
(2)「やんばるでは、更に、そこに生育する広葉樹林にそもそも経済的な価値がなく、利用用途もチップ材・オガ粉に限定されることから、林業事業者は、補助金つきの森林整備という造林事業にかこつけて森林を伐採・搬出し、これをチップ材・オガ粉に転用して利益をあげるためである」(同38頁上から7行目〜11行目)
(3)「森林整備(造林)という公共事業による補助金政策によって、森林組合を補助金で手厚く保護するものである。実際、森林組合の財政の80%以上はこの森林整備(造林)事業の補助金によって賄われている。この補助事業がなければ森林組合の財政は破綻する」(同38頁上から12行目〜15行目)

22 答弁書8頁上から4行目

  同所で「同林道の事業目的については認め、主張については争う」旨の認否につき、当該認否に係る訴状主張部分(訴状39頁上から11行目〜同41頁上から2行目)には事実主張部分と法的主張部分が含まれるが、具体的に、どの部分を法的主張部分として「争い」、事実主張部分のうちどの部分を「認め」「否認」するのか、それぞれ特定されたい。事実主張部分中には被告において否認しえない主張部分も含まれている。

23 答弁書8頁上から6行目

  同所で「同林道の事業目的については認め、主張については争う」旨の認否につき、当該認否に係る訴状主張部分(訴状41頁上から3行目〜同42頁下から7行目)には事実主張部分と法的主張部分が含まれるが、具体的に、どの部分を法的主張部分として「争い」、事実主張部分のうちどの部分を「認め」「否認」するのか、それぞれ特定されたい。事実主張部分中には被告において否認しえない主張部分も含まれている。

24 答弁書8頁上から9行目

  同所で「同林道の事業目的については認め、主張については争う」旨の認否につき、当該認否に係る訴状主張部分(訴状42頁下から6行目〜同46頁上から3行目)には事実主張部分と法的主張部分が含まれるが、具体的に、どの部分を法的主張部分として「争い」、事実主張部分のうちどの部分を「認め」「否認」するのか、それぞれ特定されたい。事実主張部分中には被告において否認しえない主張部分も含まれている。

第4 その他の求釈明事項

 以下の諸点につき被告の明確な釈明を求める。

1 伊江原林道の自然災害等と公金支出

  同林道につき、事業着手から現在に至るまでの間に、自然災害その他を原因として支出された公費(国、県及び国頭村の各支出を含む)であって、本件事業予算に計上されていないものについて、(1)支出名目、(2)支出年月日、(3)支出金額(国、及び国頭村の各負担部分を含む)、(4)支出権者・支出先、(5)支出手続・経緯を明らかにされたい。

2 楚州仲尾林道の自然災害等と公金支出

  同林道につき、事業着手から現在に至るまでの間に、自然災害その他を原因として支出された公費(国、県及び国頭村の各支出を含む)であって、本件事業予算に計上されていないものについて、(1)支出名目、(2)支出年月日、(3)支出金額(国、及び国頭村の各負担部分を含む)、(4)支出権者・支出先、(5)支出手続・経緯を明らかにされたい。

3 チイバナ林道の自然災害等と公金支出

  同林道につき、事業着手から現在に至るまでの間に、自然災害その他を原因として支出された公費(国、県及び国頭村の各支出を含む)であって、本件事業予算に計上されていないものについて、(1)支出名目、(2)支出年月日、(3)支出金額(国、及び国頭村の各負担部分を含む)、(4)支出権者・支出先、(5)支出手続・経緯を明らかにされたい。

4 チイバナ林道と保安林伐採

  訴状44頁上から16行目〜同45頁下から9行目において主張したように、同林道の事業予定地には水源かん養保安林の制限林が存在するが、この保安林伐採につき、(1)保安林解除手続の有無、(2)作業許可取得の有無、(3)作業許可の内容、(4)保安林伐採地域・範囲、(5)保安林伐採量、(6)伐採後の植栽の有無・範囲を明らかにされたい。

5 チイバナ林道と砂防施設の破壊

  同林道の延長線上には昭和56年に設置された大規模な砂防施設(砂防ダム)が存在するところ、同林道はこの砂防施設のほぼ中央部分を貫通・破壊しその機能を阻害して開設されているが、この砂防施設の貫通・破壊はいかなる手続に基づき実施されたのか明らかにされたい。

6 本件林道に係る造林事業

  本件林道(訴状別紙林道目録に記載された林道)はいわゆる森林管理道とされ、開設後に予定されている造林事業(人工造林・保育・新植・改良等の育成単層林・育成複層林整備などの事業)のために必要だとして開設されるが、この本件林道の開設後に予定されている造林事業について、以下の諸点を明らかにされたい。
(1)伊江原林道、楚州仲尾林道及びチイバナ林道に係る上記造林事業の内容(造林実施の時期・事業名・細事業名・事業区分名・樹種・植栽本数(本/ha)・実行面積・実行経費等)
(2)上記3林道以外の本件林道に係る上記造林事業の内容(造林実施の時期・事業名・細事業名・事業区分名・樹種・植栽本数(本/ha)・実行面積・実行経費等)

7 本件林道と入札経緯

  新聞報道によると、「国が補助金を出し、国頭村が発注した農家への園芸農業活性化事業をめぐり、受注した村内の建設会社三社が談合したとして」、国頭村内の「国栄建設社長平良政輝、大嶺組社長大嶺通邦、沖一造園土木社員宮城幹夫の三容疑者」が談合の疑いで逮捕され、この「入札には、三者を含む16社が参加し、三社は3つの工事をそれぞれ約四千二百〜四千四百万円で落札。落札率(予定価格に対する落札価格の割合)はいずれも99.5%前後と高かった。県警は三社を除く入札参加業者についても、同じ容疑での書類送検を視野に調べを進めるほか、事前に予定価格を知っていたとみて業者を追求する。(中略)同事業をめぐっては、村が国に対し未完成の工事を完成したと虚偽報告し、不正交付金を受け取ったことが発覚。この問題を捜査する過程で談合の事実が分かった」と報じられている(2007年11月16日付沖縄タイムス)。更に、「調べでは、三人は昨年一月に行われた同事業の指名競争入札をめぐり、村内であった会合に出席し、落札業者を決めた疑い。会合には別の入札参加業者もいた。関係者によると、村では事業の発注があった場合、業者の格付けなどによって、それぞれ『研究会』と呼ばれる会合を開いており、同課(県警捜査二課)は三人のほかに談合の仕切り役がいなかったどうかについても調べる方針」と伝えられている(同月17日付沖縄タイムス)。 
(1)伊江原林道の入札経緯
同林道の落札業者は上記談合で逮捕された国栄建設であるが(訴状21頁上から3行目の「契約締結日(1)H17.11.10 請負代金額67,935,000円」に係るもの)、同林道の入札には同じく談合で逮捕された大嶺組も参加している。国栄建設による上記落札率も97%(小数点以下四捨五入)と極めて高い。同入札には談合で逮捕された國栄建設及び大嶺組を含む合計12社が参加しているが、全業者がやんばる北部三村の土建業者であり、そのうちの9社は国頭村に本社を置く業者である。
後述するチイバナ林道の落札業者であるアサヒ建設や上原土建も、伊江原林道の指名入札業者であり、伊江原林道の入札に参加している。
(2)チイバナ林道の入札経緯
同林道の落札業者は上原土建とアサヒ建設である(訴状26頁)。
上原土建が落札した分のうち「契約締結日(1)H17.9.13 請負代金額136,500,000円」に係る入札には(同頁上から7行目)、上記談合逮捕された国栄建設と大嶺組が指名入札業者として入札に参加している。上原土建による上記落札率も94%(小数点以下四捨五入)とこれまた非常に高い。同入札には談合逮捕された国栄建設と大嶺組を含む合計12社が参加していること、全業者がやんばる北部三村の土建業者でそのうちの9社は国頭村に本社を置いていることも、伊江原林道の場合と同じである。このように、チイバナ林道と伊江原林道の入札業者はいずれも12社であるが、そのうちの10社は両入札に参加していて、顔触れも共通している。
以上を前提に、伊江原林道、チイバナ林道及び楚州仲尾林道を含む本件事業について、談合の有無につき調査したか、調査した場合には調査結果、調査していない場合にはその理由を釈明されたい。
更に、本件事業に係る入札経緯を明らかにする文書の提出を求める。